のびドラと博士クルトの2つの関係をうまく絡めたテーマ(というか伝えたいこと)の表現の仕方がうまい。
このテーマは、私が感じるに、簡単に言ってしまうと極めて前向きな応援のメッセージであり、みんな悪いところはあるけれど、良いところだってあるし、それが大事なんだよ、というところである。(最終的に生きていて偉い、というところまで続く賛歌に近いかもしれない。)
この映画では割とのび太やドラえもん、博士やクルトの駄目なところが強調されていたように思える(普段の映画以上に。そのため他のキャラクター…ここではスネ夫ジャイアンしずかちゃんだが…に関しては特段強調しては描かれなかった。)。
ただその分「良いところ」に関してはかなり尺を取って描写されていた。のび太(とドラえもん)に関しては追加回想エピソード、クルトは回想もそうだが夜中までひみつ道具の研究をしていたところや、博士に激励をするところ等見どころが多い。博士についても失敗は多いものの、クルトへの指導の暖かさやライバルであるハルトマン博士への感情(あれはツンデレと寂寥とかもありそうだ)といったように今回の事件の主因ではありつつも悪いようには描かれていなかった。
クルトを詰めていた館長もヘイト軽減の描写がされていたこともあり、憎めない感じになっている。
ドラえもん映画ではこれまで悪役は悪役だし、詰めてくる先生や親といった目上の人や、ジャイアンスネ夫といったハラスメント加害者に対する子供としての恐怖という描かれ方が結構多いように見えたがそういった者への理解の仕方としても、人それぞれの良いところ、悪いところ、という描き方は子供にとっては一助となるのではないかと非常に得心がいく描き方だったように思える。
(なお過去ジャイアンスネ夫や先生両親は勿論味方になってくれる描かれ方はしていることは前提としている。)
また非常に良かった点としてはひみつ道具の扱い方についてだ。ひみつ道具ミュージアムというところで、ひみつ道具開発の歴史を展示しているシーンはとてもワクワクしたし、他の展覧とかでは小ネタやこんなミュージアムあったら楽しいな〜と思った。また、ひみつ道具バトルでは既存のひみつ道具の組み合わせでバトルをダイナミックに表現しており、またそれと結末を踏まえると、怪盗DXのひみつ道具への理解・愛の深さも得心がいくところである。
のび太とドラえもんは運命共同体であり、親子のようであり、兄弟のようであり、悪友であり、ドラえもんが優位になるところが多いが、結局のところ、始まりはドラ→のびなんだよな……………
恋人か?今回はドラえもんは文字通りネコだったわけですしね…