前半で見えた、旅行のお土産をもじもじしながら渡しに来た素の燈子と、後半で誰からも信頼されている理想の燈子を描き、そして侑は燈子の弱音を聞いて、どうして私を好きなのかという疑問に対して答え(自分が燈子にとってどういう存在なのか)が見つかった。選挙演説のオチも素晴らしかった。後半の最後に、前半パートのお出かけで出た話が回収されるのもしまりが良い。
大筋の話とは関係ない部分ではあるが、お出かけで話された日向 朱里(ひゅうが あかり)の失恋と、それを朱里がどう思っているかを聞いて、「まるで、練習したみたいにすらすらと話す朱里は、その言葉を、一人で何度並べて、飲み込んで、整理したんだろう」という語りが出るこの作品は最高だ。後半の、相談すれば良いのにという言葉に対して「それはだめ」とかなり強めに言う燈子の演技も良かった。