百合アニメ…ではあるが、個人的にはこれくらいのレベル(恋する気持ちを解像度高めに語るなどの演出によって、主人公たちの空間に浸って感動できるレベル)の恋愛アニメは他になかなかない気がする(記憶が薄いが、最近のアニメでは『月がきれい』(これは男女の恋愛)、昔のアニメなら『青い花』(これは百合)とか、少なくともラブコメアニメが流行っている昨今ではなかなかお目にかかれないのは事実だと考えている)。
このアニメの良いところの1つは、先に述べたように女性同士の恋愛をうまく描いていたこと(第7話のように同性愛の難しさが割と自然に描かれていたのも評価ポイント)、言葉選びがとても素敵だったこと、それを演技する声優たちも良かった。
良し悪しをつけられないポイントとしては、映像を見る必要がある場面があまりないこと(やってないのでわからないが、音だけで楽しめると感じた。それはアニメとしてはどうかとも思うが、この作品の素晴らしさ自体が損なわれているわけではないので何とも言えない)と、作画がめちゃ良いわけではないこと(映像を見る必要が無い(キメる場面ではない)瞬間の手抜きぶりは結構すごい。そもそもの絵柄の癖も強め)があげられる。
悪いところは、人によってはこの空気感を味わえなくて、スローテンポだと感じるかもしれないこと、そしてやがきみの空気を摂取しすぎて胸焼けしてしまい、一気見が難しいことだろうか(自分は、第9話までは一気見したが、第10話を見るまでに数か月空いてしまった。これは極端すぎるが、恋愛脳な人間じゃないとこのアニメの一気見と言うのは結構苦しい可能性がある)あとはオチが中途半端。
ただ、このアニメの恋愛の描き方は本当にすごかったことだけは確かである。笑いどころはほとんどなく、とにかく登場人物たちの人間関係を追っていくだけのアニメだが、侑と燈子の関わり合い(イチャイチャしているともいえるが、個人的にはこっちの方がしっくりくる)がとても良く、それへの時間の取り方が秀逸といえる作品。人によっては退屈だと思うアニメだが、刺さる人にはクッソ刺さるだろうし、百合アニメの中では最上の作品な気もする(そんなに作品数を見ていないので何とも言えないが)。