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全体
とても良い
映像
とても良い
キャラクター
とても良い
ストーリー
とても良い
音楽
とても良い

西野カナの歌詞と言えば『会いたくて会いたくて震える』が有名ですが、これはまさに『会えた時』と『会えない時』の心の震えを丁寧に描いた、名作です。

冒頭から新海誠監督らしい鬼のように美しい背景美術が視聴者の目を釘付けにします。
ヒロインのセリフを絡めつつ、主人公とヒロインを紹介するシーンは、お互いの変なところが見事に描かれていて、これまた印象に残ります。
ミステリアスなお姉さんが、なぞの言葉を残し去っていく……自分もこんな経験してみたいランキング上位にくるシーンですね。

笑ってしまったのが、主人公がヒロインの足を測るシーン。
あれはどうみても前戯のメタファーですよね笑
前戯を終え、心の距離がグッと近づいた二人。
その直後に梅雨が明け、二人が会えなくなってしまうのですから、新海誠監督は物語作りがちゃんとわかってます。

それから続く『会えなくて震える』日々のシーン。
淡々と描かれる日常シーンの後、視聴者を退屈させないと言わんばかりに意外な再会を描くのですから、本当にたまりません。
今までのシーンから見るに、ヒロインが事件に巻き込まれた時、だれも助けてくれなかったんですよね。
でも後から事情を知った主人公は、そのまま先輩を殴りに行く。
この関係性の描写、最高です!
余談ですが、みかこしはイヤな女を演じさせたら右に出るものがいないですね。
レインボーライブの初期いとちゃんもそうでしたが、本当にイヤな女の演技が上手いです。(だからこそ中盤以降のいとちゃんは、より可愛く見えるんですけどね)

その後、いつもの場所で主人公とヒロインは再会します。
そこへ雨が降り、二人はヒロインの家へ。
ここのシーンが本当に幸せそうで、心がムズムズします!
同時にこの後の破綻も予感させられ、観客の心はかき乱されるばかりです笑
そして予想通り訪れた、二人の永遠の別れ……と見せかけて始まる怒涛の展開!
花澤香菜さんと入野自由さん、両者の名演が光ります。
さらに盛り上げる音楽に、美しい作画、そして想いが伝わるセリフなど、このシーンは本当にすばらしい!
まさにこのシーンを見るために、この作品を鑑賞したと言ってもまちがいではないでしょう。

その後季節の移ろいを映すエンディングのあと、主人公の独白が入ります。
そこで語られる主人公の言葉は、まさに『会いたくて震える』に対してのベストアンサーでした。
このセリフでラストを迎えたからこそ、本当に見てよかったと言える映画になりました。

五十分未満の中につめこまれた、二人の想いの移ろい。
作画よし、演技よし、音響よし、物語よしと、不満点は一切ありません。
今まで何本か観てきた中でも、特に好きだと言える新海誠監督作品でした。



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