・マンガ家ギャグと父の謎を追う二つの物語が同居するテクニカルな作品
ふたつの時間軸が交差する物語作りが実に巧みな作品でした。
ただふたつ別々の物語を書くのではなく、それぞれの話をしっかりテーマごとにリンクさせているのが、素直に『上手い』と思いました。
・久米田先生らしいキレキレのギャグ→作者のベテラン化もあり、マンガ家ネタがおもしろい!
もともと久米田先生はギャグマンガ家としてキレキレのセンスを持っていましたが、それがさらにレベルアップ!
いまの久米田先生だからこそ書けるマンガ家あるあるには、腹を抱えて笑いました。
過去作品のような暴走オチがなかった点も、作風にあっていてよかったです。
・手品は種明かしする前までがおもしろい→それがわかっていても引き込まれる謎パート
正直、謎パートは答えがわかってしまうと『なーんだ』となってしまう面が多少あります。
それでもこの作品の謎パートには視聴者を引っ張るだけの力がありました。(なんとなく浦沢直樹の作品を思い出したり)
それにマンガ家という主人公の仕事を象徴するような『あの悲劇』はたしかにインパクトありました。
種明かしのあとを想像してガッカリするより、目の前の最高におもしろい手品に全集中する――この作品にはそんな楽しみかたが似合うと思います。