「……だれ?」
状況は悪化するばかり。絶望を象ったかのような現実が、双眸に映し出された。楽しかった日々、幸せな日常。それに大好きな「めぐねえ」。幻想はその強度を弱めつつある。
はじめから、きっとわかっていた。あなたがもう、そこにいないことを。
お別れのときが近付いていた。
これまで、そして今このときでさえ、わたしを導いてくれた先生。
「この先何があっても、その笑顔を忘れないで」
壁一枚の隔たりで、あなたは遠い世界へ旅立ってしまった。でも、もしかしたら、今もその向こう側で微笑んでいるような気がして、扉を開けて――でも、そこにはやはり、誰もいなかった。
「ばいばい、めぐねえ」