本作は、これから現実に発展していくであろう仮想現実世界を通して、人の心の交流と成長を描いた作品と言えるでしょう。
細田監督の「テクノロジーによって実現される世界を肯定的に描きたい」という目標は十分に達成されているかと思います。
圧倒的な映像美が作品に説得力を持たせています。
本作の特筆すべき点は以下の通りです
・SF考証に基づいて緻密な世界観が作られている点
・現実世界(リアルワールド)が主要な舞台になっている点
・子どものみならず大人もデジモンやデジタルワールドに関わり、その活躍や葛藤がしっかりと描かれている点
シリーズ構成は「serial experiments lain」などでも知られる小中千昭氏であり、氏のWebサイトには本作の世界観や設定資料が豊富に掲載されています。
初代「デジモンアドベンチャー」がレジェンド的作品であることもあり、本作はやや影に隠れてしまった作品なのは確かです。
しかし今見返すと、当時とはまた異なる視点で楽しめるのではないかと思います。(実際私もリアルタイムで見ていたときは小難しかったり怖かったりで途中で断念してしまいました)
「当時見ていたけどよくわからなかった」という人や、SFアニメが好きな人におすすめです。