前回の茜に続き、新たな魔法使いが登場。犬の姿の犬養さんを母親が快く招き入れたように、弘前という町、そして倉本家の縁側は、気まぐれな来客に対していつでも寛容だ。問題はあっさり解決し、旅人はまた旅立ってしまうけれど、あたたかな人間関係だけは確かに残る。
今回改めて思ったけれど、この作品は色設定に本当に気を遣っている。昼に見る公園の桜、犬養さんの回想に出てくる桜、ラストシーンの光り輝く夜桜、各々がきちんと描き分けられていて、ゆえに全てが印象的だ。真琴の薬箱に並んでいる薬、立ち上る煙、出来上がった金平糖もみなカラフルで楽しい。