2011年の東京。東日本大震災から5日後、刻々と被害を伝えるテレビのニュースを見続けたキョウコは、置き手紙を残して小村の元から姿を消した。妻の突然の失踪に呆然とする小村は、図らずも中身の知れない小箱を女性に届けるために北海道へと向かうことになる。
同じ頃のある晩、小村の同僚の片桐が家に帰ると、そこには2メートルもの巨大な「かえるくん」が彼を待ち受けていた。かえるくんは迫りくる次の地震から東京を救うため、こともあろうに控えめで臆病な片桐に助けを求めるのだった――。めくらやなぎ、巨大なミミズ、謎の小箱、どこまでも続く暗い廊下――大地震の余波は遠い記憶や夢へと姿を変えて、小村とキョウコ、そして片桐の心に忍び込む。人生に行き詰まった彼らは本当の自分を取り戻すことができるのだろうか…。