最終回泣きました
原作は種村有菜先生の同名漫画のアニメ化作品です。放送は朝アニメの子供枠でしたが、終始シリアスな展開と二転三転する先の読めないストーリーが話題になりました。
この作品をオススメしたい点はまず、主役の神山満月の声を声優経験もない当時の新人アイドルが演じたということです。普通これは失敗フラグなのですが全52話あるアニメの収録を得て、本当にゆっくりと上手になっていく過程をみることができます。
このアニメは主演声優の成長物語を兼ねているといっても過言ではありません。
主人公の神山満月は12歳で喉の病気により余命1年を宣告されてしまうというところからスタートします。それがよりにもよって死神というファンタジーな存在によってされてしまうのです。
その死神の慈悲により、死ぬまでの1年間という期限付きで満月の夢である歌手になりたいという夢を叶えるチャンスをもらうことになります。方法としてフルムーンという16歳の姿に魔法でしてもらいオーディションに出場し、実力で歌手デビューを飾って大ヒットするという話が展開していきます。
手塚治虫のメルモと同じように12歳が背伸びした16歳の女の子の天真爛漫さという要素も面白いのですが、この作品の凄いところは歌手活動と小学校生活の両立がひとりだと早々と破綻してしまい、大人の力を借りてどうにか両立を目指すという点です。
まず満月の主治医の若王子先生と芸能マネージャーの大重さんの二人に協力を頼みます。死神の魔法で16歳に変身していたという正体バレ展開が第19話で早々と訪れるというのは当時先が全く読めず、どうなっていくんだろうと驚きました。
ライバル関係になるアイドル歌手若松円との対決、ラジオ出演など数々のイベントをこなしながら、視聴者が寿命の存在を忘れた頃合い(33話)でついに病状が悪化し死の気配が近づいてきます。そんなときに初恋の男の子がアメリカにいるという情報を得て、一か八か渡米をするという思い切った決断をします。満月の余命は一体どうなるのか。
徐々に明らかになる死神の秘密など飽きさせない要素が盛りだくさんで非常に構成の上手い物語が綴られていきます。そして運命の最終回は涙なしには見れません。ストーリー面以外にも、死神タクト役の桜塚やっくんの演技や歌声の綺麗さに驚くことでしょう。
全体的なバランスもトップクラスで埋もれるには惜しいくらいの名作アニメです。