自分の居場所がなかったダークライにアリシアがここにいて良いんだよって言ってくれた。きっとダークライにとってはそれが初めて触れた優しさだった。そして、それ以来ダークライはアラモスタウンの庭園にひっそり住み着くようになって──
そして数十年後、神々の争いの狭間で街やアリシアの孫でよく似たアリスが巻き込まれてしまっていた。そんな時、かつて自分に優しさをくれたものたちを守ろうとダークライは再び姿を現す。
だけど、そのやり方は不器用すぎて街の人々から疎まれてしまう。それでもダークライは守るべきもののために自らの身を挺して、強大な神々の攻撃をその身に受け続けた結果、最後には力尽きてしまう。その優しさの想いに気づけたのはアリスだけだった…。
人々から悪の名を背負わされながらも、かつて優しさをくれたもののために戦い、そして散っていく。そんなダークライの儚い優しさと人を想い続ける絆が美しかった。神々を鎮める祈りの鐘の音《オラシオン》はそんなダークライを感謝と共に見届ける鎮魂歌のようだった。
しかし、ダークライは風に揺らめくその姿のようにどこまでも飄々としていて、強く結ばれた絆のもとに再び塔の上に凛と立ち、街も人もアリスたちも影の中からひっそりと力強く見守り続ける。