ごん太、勇気をありがとう。
いつまでも忘れないからね。
福島県の最東端、浜通り北部にある浪江町。B級グルメで話題になった「なみえ焼きそば」が名物の食堂を営む富田一家は、8歳になる犬の『ごん太』を飼っていた。ごん太は生まれたときから頭の先がちょっととがっている利発な犬だった。
2011年3月11日午後2時46分。突然、東日本大震災が起きた。店の倒壊は免れたが、福島第一原発からわずか9キロの地だったため、すぐに避難することに。すぐに戻れると思い一家はごん太を置いていくが、結局親戚や知人を頼って転々と居を移すことになり、ごん太とは離ればなれになってしまう。
一方、東京の大学に通っていた吉野由紀は、春休みを使ってペットを救済するボランティアに加わって被災地を訪れる。そして取り残された犬たちがいるとの情報を得て、浪江町の警戒区域内へ。そこで数匹の犬たちを保護するが、その中にごん太がいた。
ごん太は『ピース』と名付けられ、吉野らとともに相模原に拠点を移して生活を始める。しかし、ピースは病気にかかっていることが判明し、余命1カ月と診断される。
ごん太のことがずっと気がかりで心配している富田一家。とりわけ仲のよかった障害のある5歳の娘李花。なんとしても元の飼い主に会わせたいと奮闘する吉野。
吉野は何故、そこまでの思いで頑張るのか? そしてピース、いや、ごん太は果たしてどうなってしまうのか…