「美男だけ」か「美少女だけ」がトレンドになりつつあるアニメ回に(ボクシングだけに)殴り込んできた泥臭いむせるアニメ。
「近未来、機械のプロテクター『ギア』を装着したボクサーの戦い『メガロボクス』が人気を博していた」という設定をハナから捨てるような、ジョーの「あえてギア無しでリングに上がり注目を集める」という設定がそもそも不満。
「ジョーの『ギアレス』設定から逆算して『メガロボクス』という舞台を作った」ようにしか見えないし、生身(=ジョー)に負けるメガロボクサーの格を間接的に落としている。
そもそも各選手のギアも「肉体の延長」でしかなく、ギアを付けたメガロボクスと我々の知るボクシングの違いが見いだせない。
もっと生身では出来ない、ギアだからこその超人的な動きや、「4本腕」など人体を逸脱したギアを見てみたかった。これなら一昨年の『アトム・ザ・ビギニング』の方がメガロボクス感がある。
「メガロボクスにあえて生身で出場して注目度を稼ぐ」という南部の意見は理にかなっているのだが、理にかなっていることと面白いことは別の話だ。
ストーリーは面白い部分もあり、南部の「立つんだ、ジョー!」のオマージュには燃えるものもあったが、
全体で見ると時間配分が歪で、サブキャラのアラガキや樹生のエピソードや、リング外のドラマに時間を取りすぎている印象。
ボクシングシーンはその割りを食ったのか淡白で見応えがなく、最終戦の勇利vsジョー戦も全然燃えない。
白都製の最新ギアを捨てて、勇利が生身でジョーとの決着を望む展開にも疑問符。
それ、メガロボクスじゃないじゃん。ただのボクシングじゃん。
先にも述べたとおり、ボクシングシーンは派手な動きもなく、ジョーが敵のパンチを耐えてカウンターで決めるパターンの一辺倒。
ボクシングアニメでボクシングがつまらないというのはダメでしょう。
「ギアの設定要る?」の一言に尽きるガッカリ作品。見どころもあっただけにもったいなかったな。