行方知れずバラバラになったかつてのCRYCHICを再び引き合わせる中心に愛音が舞い降りた。部外者の愛音だからこそ、元CRYCHIC間の微妙に張り詰めた緊張や触れてはいけなさそうな領域もお構いなしにずけずけと突っ込んでいく。でも、それこそが今まで言葉にできなかった燈やそよ、立希の本音を引き出すきっかけになったように見えていた。
そして、そんな風に愛音が現れてかき回したことが、そよがいよいよ言葉にした「またみんな一緒にバンドしよう!」という新しい一歩に繋がった。それはまるで、再びみんなの心が通い合ったようだった。
だけど、立希が燈だけをひたすら追いかけていたことと対象的に、どこか燈が見ているのは愛音のことばかりのような気がしないでもないように見えていた。だから、まだ分からないけれど、それでも取り戻せたものは確かにあったと思えるものだった。