湯乃鷺に舞い込んできたのは、この温泉街で映画の撮影が行われるという話。しかも、メインの舞台は喜翆荘だという。
若旦那が今回の話をリードするわけで、すると当然女将にもお伺いを立てるのだが、いつもならこういう話をビシッと切り捨てる女将も二つ返事で快諾。喜翆荘のみんなもどこか浮かれ気味で、なんだか若旦那も妙に頼もしく見えていた。
どこか上手すぎる話に不安に思うところもないわけではない。しかし、若旦那の大学の映研の頃の夢や憧れも込められた今回の映画の話なだけに、いつもの小手先ではなく、若旦那もこの映画に本気で懸けているようだった。だから、良くも悪くも何かが起きるそんな予感は確かなもののように思えた。