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とても良い

ダービーでのドゥラメンテの遠すぎた背中を思い出したキタちゃんが思うのは、自分はスターにはなれないんじゃないかということ。幼い頃に見たテイオーの走りに魅了されて、「いつか自分もああなりたい!きっとなれるはず!」と信じて走ってきていた。だけど、所詮、憧れは憧れにすぎないということなのか。そこにキタちゃん自身の自信は付いてきこなかった。

そんな時に舞い込んできたのは、宿敵ドゥラメンテの骨折のニュース。菊花賞でのライバルの欠場は、まさに目の上のたんこぶが取り除かれたというもので、思わずキタちゃんもライバルの不幸をチャンスだと内心喜んでしまった。

でも、それは憧れのトウカイテイオーみたいな輝いたウマ娘とは正反対の姿で、一番なりたくないかっこ悪い自分がそこにいた。そんな不甲斐ない自分に悔し涙を抑えきれないキタちゃんの心中は、どんどん憧れから遠ざかっていく自分への虚しさと、そこで踏ん張ることのできない自信のなさでいっぱいだったように見えていた。

それでも、ネイチャはそんなキタちゃんのかっこ悪い姿もズルいところも全部ひっくるめて、共感して認めてくれた。かつて自分がそうだったように、そういう邪念も「勝ちたい!」という思いの現れだから、むしろそれが自分自身なんだと胸を張って貫き通すことで純粋な「勝ちたい!」へと昇華させてしまえ!というエールを先輩のネイチャはくれていた。

そして、キタちゃんは憧れだったりスターになりたいだったりと常に誰かの視線を気にすることを止めて、ただゴールだけを見据えて自分らしい走りを突き通すように吹っ切れた。

それはきっと、一番になるためには「憧れ」という他人の軌跡の人まねでは果たせないということなんだと思う。ただただ「勝ちたい!」という思いに従うことで、次第に「勝てる自分」になっていくことができるし、さらにその結果として誰かを夢中にさせる唯一無二のスターにもなることができるのだと思う。そして、菊花賞を勝ち取るレースを走りきった時、キタちゃんはまさにそういう存在になっていた。



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