見どころいっぱい。
シナリオ的には決戦前のタメ回なんだけど水上節が効きまくる名言のオンパレードにより見せ場回になっているのは戦国妖狐のテーマにも繋がる部分だと思う
原作でよく語られる見開きぶち抜き5ページの義輝の抜刀シーンを、無理に原作再現しようとはせずアニメならではの時間軸を使ったスタイルで見せ場として演出したのは評価したい。
これまでハイペースで見せてきた展開を、松永軍突入以降はたっぷり間をとって開戦までの臨場感を感じさせた後、抜刀する瞬間に熱のピークを持ってきてる。漫画だと抜刀後の大見得を見せゴマとして扱っているのでかなり演出方法が違う。
抜刀の瞬間、刀に映る義輝という構図もこれだけで原作好きにとっては非常に愛を感じる構図です。
挿入歌の赤泥の編曲は劇伴のエヴァンコールが担当。
トーナリティを崩さないままヌルッと挿入歌がスタートし、そのまま千夜とムドの問答に移行していくことで2つの戦いが同時に起こっている事をより強調し、流れを崩さないままいつもの引きのBGMで終わっていく流れが綺麗。編曲と劇伴担当者が一致していていないと出来ない演出だ。
どちらかといえば劇伴にボーカルを載せたという印象が強い使い方で、とても贅沢。
赤泥は以降のバトルシーンにも出番があるそうなので楽しみ。タイトルと曲調から大体どのシーンか想像できる。
1番弱い針鐘が上げた狼煙を千夜が掬い上げるのはやっぱり良いですよね。1部を含めてキャラクターが関わり合いながら変化してきたここまでの集大成があのハリガネパンチといえるので。アニオリで随所に道錬の回想マシマシにしてあるのも分かってる〜となりました。ただ、だからこそ1部での千夜と道錬の会話は削るべきじゃ無かったな〜とも。
千夜のアンサーを受けた次回のムドもまたいいんですよね。そしてそれ以降の伝播も。
将軍の名言の中で、
「乱れた気を振り回していると疲労で己の無力に満足してしまうぞ」と、今回の「しかめっ面して努力だ根性だと言ってるうちは真髄はこちらを振り向いてくれぬ」が特に好き。
華虎様が服来とる〜
OPで全裸だったので押し通すのかと思いきや流石にあかんかったか。
とはいえ月湖への女としてのおめかしの喜びを教唆する際への着衣なので、一応作劇的に不具合が起きないようにしているのは丁寧な配慮。
今回詰め詰めだったのでカットされてる要素が多かった中で気になったのは真介の描写。
道場生相手に四人抜きした上で月湖にあっさり負けるっていうパワーバランスが好きだったのでちょっと残念。ただ真介の武力としての評価をカットしてそれ以外の能力にフォーカスさせるのは、尺の都合というよりもシリーズ構成としての設計の面が大きそう。千夜と月湖にとって頼れる兄貴分でありながら、将軍の前では真介もまた子供に等しいという構造に作り替えられていて、後々の各々の変化を含めるとこっちの方がストレートに伝わりやすいという解釈なのかも。
南蛮衣装を来た月湖がお父ちゃんにも見せたかったというセリフもカット。通りすがりの親子の姿に2人のトラウマを語らせているのは好ましい変更。というか思慮深い月湖がこういう事いうのに違和感があったので原作のセリフがあんまり好きじゃなかった。駆け引きで言ってるにしても嫌だったし(成長後の月湖なら分からんでもないが)
雷蔵の「酒、準備するわ」ってアニオリも超よかった。湿度の高い真介のセリフよりもこっちの締め方の方が大人組の深みがあって良い。
来週はついにアレっすね。
専用挿入歌付きとの事なので気合い入った演出を期待しています。
たまの見せ場では1部の劇伴を使うっていう演出が多層的なグラデーションを感じられる。
1部は勧善懲悪、2部は贖罪っていう方向性の違いがメロディーラインの明暗でわかりやすい。
狂神戦が1部にはないタイプの劇伴で、揺れ動く千夜の葛藤を表現するドラマチックさが良いです。
相変わらず細かいアニオリが多いんだけど、千夜の笠を月湖→真介→千夜とバトンタッチする演出が芸が細かい。呪符・平穏無事をうまく活かした良演出。何気に呪符がめっちゃ増えてるのも弟っぽい甘えが見えてかわいい。
意図が見えなかったのは、真介に縋る月湖の「私が弱いから千夜を守れない」っていうセリフのカット。千夜を心配するのと同時に、(女だし子供だから)自分が弱くて悔しいっていう要素は、前回の温泉からもオミットされてる。月湖の自我が感じられてかなり好きなシーンなんだけど後々で回収されるのかどうかは気になるところ。
真介のぐだぐだ悩みパートをカットして修行パートを盛ったのはスマート。
刃向かえば容赦ないけど山の神的には1部の一行で最も一目置いてるのは真介ですよね。どう考えても特別待遇なので。「今のうちに割っておこう」はゾクゾクしました。名演技。
ラストの今はもう尺がない、は漫画だと「今はもう頁がない。来月号で教えてやろう!」です。細かく引きを合わせてくるな。