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死出の鳥、偽物なだけの怪異。最後にして最も偽物そのものの存在として阿良々木月火が立ち現れる。
「ドキドキしない」事からたとえ偽物でも月火は妹に違いないと確認する暦。どうも彼にとっては欲情を超えたところに真に親密な愛があり、しかし超えたからといって不要なのではなく「いくら触ってもいいだろ」といった帰結になる様だ。(何故?)
影縫は一般常識の面から偽物であることの悪を説くが、阿良々木は悪を受け入れる。影縫の「正義」とは一般規則を個別の事例に適用する演繹的な態度だが、今回の場合は嘘(偽物)の倫理性など彼等には問題にならなかった。そこで影縫は悪の中から生まれる価値、かつての貝木の主張の真意を悟る事となる。
ただ単に偽物である事を肯定するのではなく、そこに宿る意志へ価値を置くのはかれんビーと共通していて、『化物語』から続くストイックな思想が見えるところだろう。



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