箒と杖のクラシックな魔法世界。調薬から対人戦まで魔女の技能が幅広い。
優秀にして実直な人間が報われるのは良い事だ。「魔女になって旅をしたい」といっても修行の中で「認められたい」など転化した願いを見せるのも理想化された「天才」とは違う人間らしさがある。いやイレイナの中では魔女になる事は初めから旅に出るに足ると認められる為の前提条件だったのかもしれないが。
泣き出したイレイナに真っ先に魔法を見せるフランが生粋の魔法使いという感じで良い。会いたい人というのがイレイナだったとすると最初の「ロベッタの魔女とは違いますので」の言葉にも重みがある。異国に名が轟くほどの俊英が田舎の魔女の下らないプライドに潰される事などあってはならない、と一年もの暇を得て来たのだとすれば、あまりに感嘆すべき義侠心ではないか。