原作で初めて今回のエピソードを読んだときも、その後読み返したときも、いつも五条君が喜多川さんにメイクをするシーンで感極まってしまう。間違いなく原作の(最初の)ピークであり、自分にとってアニメ版第二期の成否は今回にかかっていると言っていい。
そんな第二期最重要回で、第一期第8話で作画監督として素晴らしい仕事をされた小林恵祐さんがアニメーションディレクターとして参加されると聞き、否が応でも期待が上がる。
さて、どうだったか。
五条君が喜多川さんにメイクをするシーンは、正直原作には及んでないかなあ、と感じた。原作では、真っ白な背景に一人だけ描かれた極限の集中力を見せる五条君の見開きが、静謐な迫力とでも言うべきものに満ちていて、何度見ても圧倒される。モノクロのマンガと違って色や音や動きがあるのがアニメの強みだが、アニメ版のこのシーンでは逆にそれら(特に音楽)がノイズとなってしまって五条君が集中している感が弱まっていたように思う。手で顔を覆って深呼吸するカットとかはよかったんだけどなあ。
と、やや「あれ?」と思いつつ見ていたのだが、ミスコンのステージ上での喜多川さんのパフォーマンスのシーンがそんな自分を強烈に張り倒してくれた。色が、音が、動きが、アニメが持っている力が、アニメにしかできないやり方で、原作を超える盛り上がりを見せてくれた。そっか、アニメ版はこっちかあ。
喜多川さんの動きはたぶん実写映像を参考にしていると思うが、きちんとアニメとして気持ちのいい動きに落とし込まれており、なおかつ同時に実写参考ならではのリアリティもある。単純に「原作のシャンコってこんな感じなんだ!」とわかるのも嬉しい。
自分が勝手に思い描いていたものとは当然違ったけれど、自分には想像もできなかったようなものを見せていただいた。スタッフのみなさんに、心から感謝を。
作画面では、何度かあった歩きや走りのシーンが、演出に応じてそれぞれ少しずつ違うスピードで歩いたり走ったりしているのがわかることに度肝を抜かれた。そんなことできるんだ、って。上手いアニメーターさんって本当に信じられないくらい上手い。