2章は映画館で期間をおいて2回視聴したが、それでも足りないくらいもう一度観たいと思った。
本作は非常に中毒性の高い映画に仕上がっており、あまりにストーリーに惹き込まれすぎたためなかなか適切な感想が出てこない。
とにかく本作は一言でいうなら傑作と呼ぶ他ないくらい気に入った。
2章で早くも頂点に近い盛り上げ方をしてしまったために3章におけるハードルが物凄く上がってしまっている。
それくらい2章が素晴らしかった。
1章において、士郎は敗北しセイバーを失いマスターの資格まで失ってからこの2章はスタートする。
士郎は遠坂と同盟を組んでいるが基本的に一人でなんでもこなそうとしている。当初はセイバーを取り戻す方法を見つけようとするが早々とその方法は諦めてしまう。桜がライダーのマスターであり知り、桜がそのせいで苦しんでいると知ってからは桜の力になれるように動くようになる。
今作で衛宮士郎はとにかく決断が早い。冒頭で方針を早々と決めて最短で駆け抜けようとする姿勢が私は素晴らしいと思った。
「桜を勝たせて聖杯を手に入れ、桜の治療にあてる」
聖杯に願うことが臓硯の施した刻印蟲を取り除く唯一の手段であると知ったあとの士郎の決意は重かったはずだ。
しかし、劇中でこれでもかと、士郎は現実に徹底的に叩きのめされる。
慎二には恨まれ、セイバーはオルタとなって敵となり襲い掛かってくる。
イリヤは士郎がマスターでなくなったと知ると協力的になってくれる。しかし彼女のバーサーカーも倒されてしまい、凛のアーチャーもそこで退場し、士郎の知らない間にギルガメッシュも聖杯の泥に倒されてしまう。
桜の暴走はとうとう抑えきれなくなり、士郎は間桐臓硯に手掛かりを求める。
呼び出された士郎は臓硯から桜の真実を聞く。
このときの台詞と演出は2章の最大の山場であろう。
『いまや間桐桜こそお主の敵だ』
全ての元凶はこのじじいだろうと誰もが分かっていても、納得してしまいそうな語り口調の魔力は恐ろしい説得力をもっていて脳裏から離れないほど強烈に私には聞こえた。
2章は劇伴の使い方も怖いくらい的確で、士郎が包丁を手に静かに桜を自分の手で殺そうとするシーンでも花の唄のアレンジがかかったり、先ほどの臓硯の温室のシーンでもI beg youのアレンジが自然に掛かっていて綺麗な蝶が舞い、キャラクターの心情にシンクロするような演出があちこちにあってとても揺さぶられる。
私は戦闘シーンの作画についてはあまりそそられるタイプではないのだが、セイバーオルタとバーサーカーの戦闘の迫力は映画向きで好きなシーンになった。
間桐桜は我慢して我慢して我慢して、士郎のことを好きでも影から見ているだけで行動に移せない女の子だった。
でもそんな桜の視線に衛宮士郎は気づいてしまったというのが今作で描かれたルートだろうか。
凛が桜を処分するといったとき、士郎は決断を決めかねていた。
しかし、教会の窓から逃げた桜を追うとき、桜が捨てた家の鍵を士郎が偶然見つけ拾う。
この何気ない偶然が士郎を桜のために他の全てを投げ捨て本気になる決意をさせたきっかけなのかなと私は観て感じた。
3章がどういう結末を迎えるのか大変楽しみです。