時系列はゼーガペインTV版の前日譚として作られた作品ですが、2016年に劇場公開された作品です。TVアニメ版は2006年放送なのでちょうど10年経ってからこれが出来たのかと感慨深い気持ちで視聴しました。
主人公ソゴルキョウの記憶を失う前の彼の姿は別人なんだけど、ところどころTV版の面影もちらついて、ミサキシズノとこんな絆があったから彼女はTV版でそうだったのかと色々思い出すには十分な、とても贅沢な映像作品になっていたと思います。
この劇場版では4回のサーバーリセットがあります。4月に学園に入学してから8月31日でリセットされてしまい終わらない1学期を過ごす姿が描かれます。そのループの切なさが存分に描かれており、だんだんとキョウが周囲の人間と距離をとっていく姿が凄く痛々しかったです。
最初は通話するテクノロジーがホログラム的なものだったのに、ループするうちに資源がなくなってきたのか、スマホ→ガラケーと主人公の持ち物が変化していった部分が細かくて、登場人物のデータ破損のために妹がついには声だけになってしまったところなど拘ったディテールがとにかく印象的でした。
TV版のネタバラシ的なものがとにかく多かったので、やっぱりTV版視聴済の状態でみるのが正解だと私は思います。
声優の浅沼晋太郎さんの段々と精神的に病んだキョウの演じ方が素晴らしかったです。
それから当時話題になった新人だった花澤香菜さんの棒読みが、この劇場版は当たり前だけどベテランに成長した花澤香菜さんの素敵な抑揚のある演じ方がされていて、前日譚なのにこれはいいのか?と思った部分が実は丸ごと演出に取り込んであったのに驚きました。
つまりは幻体の破損のために棒読みになったTV版カミナギみたいな演出になってたので、これはこれで斬新な演出で辻褄合わせになってるのかなと終わったあと唸りました。