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全体
とても良い

尺的に都合の良い流れに見えてしまって、劇場版単体で見ると原作ほどに感極まるということはなかったけど、作中人物たちの決断に心を打たれるのは変わらず。咲太、麻衣、翔子さんそれぞれのなかに、強さ、弱さがあって、その多面さがキャラの魅力にもなっていて、それ故にしっかり青春ものになっている、恋愛ものになっているのがこの作品の良さ。

上手いのは、翔子ちゃんではその歳特有の頼りなさ、強がりを、翔子さんではその歳なりの包容力といった表現をひとりの人間で描いているところ。咲太にも二人の咲太が同時に存在するタイムパラドックスな場面を作って「分からず屋だな、僕は」なんて言わせたりする。過去の自分をぶん殴ってでもやり直しさせたいと主人公がぼやく作品は数あれど、この作品はその描写の仕方が面白いし、非日常要素、SF要素の盛り込み方も面白い。

あと、双葉の咲太に向ける感情が相変わらず惚れているように見えるのに笑ってしまった。普段、感情を表に出さない分、突然の発露が不器用なだけで、あくまで友人としての振る舞いと分かっていても、実は咲太のことが好きなんじゃないのかと思えてしまうから困る。そこで補足説明したり、言い訳がましい描写を入れないのがまた良い。



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