全話通して作画と演出が圧巻だった。バトルシーンは映像として美しいが、この作品で一番面白い場面かと言われると首をかしげる。鬼の生前の無念に焦点を当てた作品とは思うが、鬼に殺された人のことを考えると、素直に感動に浸れる作品でもない。作者的には、ひたすら兄妹愛を書きたいんだろうという印象。ただ仲間登場後の方が、主人公の面倒見の良さにもバリエーションが増えて人物の魅力が出てた。前半の妹しか守る気しない主人公は、生真面目過ぎて面白みが少なすぎた。とはいえ、全体的にキャラクターの魅せ方が弱い気がした。雷がギャーギャー騒ぐのはいいが、最後まで怖がりの弱点を克服しようとしないし、変わらない。猪が敵に負けて落ち込んで修行頑張るかと思うとそうでもないといった感じで、仲間の成長はほぼなし。キャラクターの能力アップは書かれているが、肝心の精神面の変化が見当たらない。少年漫画として、そこが個人的には見たかった。