北斗の拳のアニオリ回といえば、南斗人間砲弾が登場するこの神回は外せない。
南斗人間砲弾という極上ネタは無論として。落ち度のない部下を殺したり、そのことに抗議した大将軍バルコムを「おれが法だ」と足げにしたり、あまりに理不尽なシンのふるまいも見逃せない。この人間の屑が、のちのち南斗六聖拳とか強敵とか呼ばれたりするのであるw
「噴飯」という言葉がある。
この言葉通りに、私の口から食事を吹き出させたことがあるアニメは「北斗の拳」しかない。それがこの回、19話である。
この面白さが分からなかった家族から、私は当然ながら顰蹙を買った。
原作者である武論尊氏がアニメ版の初期の回、とりわけオリジナル回のあまりの「独創性の高さ」に激怒し、以降脚本に積極的に関わる様になったという、まことしやかな伝説がある。
もし実話であればこの19話こそが、御大の逆鱗に触れた最狂の回に違いない。北斗の拳世代の方でなくても、「南斗人間砲弾」という技の名は聞いたことがあるのではないか。
東映アニメのお家芸「オリジナル回」で、宿敵シンとの戦いまでの展開は相当に水増しされているが、その過程で多くのオリジナルキャラクターが生み出されているだけでなく、シンやユリアといったメインキャラクターの掘り下げがされていることは評価されていい。
改めて観ると、東映アニメの創作である「オリジナル回」部分に、原作者氏を激怒させたほどの世界観の相違はなさそう。半世紀近く前のアニメ作品が、今も変わらずファンを笑わせ…否、楽しませてくれることに感謝したい。
この回、「南斗人間砲弾」は当然としても、ほかにも見どころがあることに気付く。
冒頭、部下に対してあまりに理不尽なシンは小悪党のよう。そのような仕打ちを受けて絶句する、バルコム将軍の表情も必見。また、シンの配下「ブラックバード軍団」が誇る武装ヘリ編隊を、ケンシロウが拳法を駆使して迎撃する戦闘シーンも必見。
最終的に「南斗人間砲弾」の使い手ガレッキー率いる「ゴールドウルフ軍団」を殲滅したケンシロウは、シンの居城サザンクロスが「緑の大地、悪魔の目」にあることを知るに至る。
謎解き要素もある、手に汗握る展開。