前後編ともテンポが速くて、最後は歌聴けば分かるだろ!みたいな締めでちょっと笑ってしまった。
実際「少女交響曲」も「Beyond the Bottom」も強いのでそういう意味では良かった。(それだけに作曲者はなぜあんなことを…と思う)
これまで登場した人物のそれぞれの群像劇のようになっていた。
前半で早坂によって投げかけられたWUGらしさとはなんだろう?ということへの回答が描かれたのかどうだったのか。。。
「青春の影」やTV版にあった「影」は抑えめで、夢に向かうWUGの明るい姿、I-1のセンターを追われた志保の、I-1から派生した新ユニット「ネクストストーム」での活動、志保に勝ちI-1センターの座を奪いながらも、その重圧に押しつぶされそうになりながら耐える萌歌など、WUG以外の「再起」も描いている。
この展開はTV版、そして前作「青春の影」からの総決算らしくて楽しめた。終盤、アイドルの祭典で夢に向かい頑張ってきた少女たちが一堂に会し、雌雄を決するラストは特にグッと来る。
また、TV版、前作とWUGメンバーの中では印象の薄さが否めなかった菜々美に焦点を当てたのも良かった。
しかし内容自体は申し分ないのだが、尺の短さとエピソードの詰め込みが嫌な相乗効果を起こして、一個一個のエピソードが薄味になっているのはいただけない。各エピソードは掘り下げればもっと面白くなりそうなのに、尺が短いせいで、主軸となる「WUGの『アイドルの祭典』に向けての活動」「光塚とWUGの間で気持ちが揺れる菜々美」などのエピソード以外は印象が薄くなってしまっている。
53分は濃密な内容を描き切るには短すぎるし、特にアイドルアニメの華といえるライブシーンが犠牲になってしまっているのは痛い。
ライブシーンはアニメ的にわかりやすい見所でもあるし、WUGの活動の集大成でもある。そこをぶつ切りにしてしまうのはいかがなものか。
あと、TV版からずいぶん丸くなった丹下は評価したいのだが、最後まで持ち逃げに関して何も謝らなかったことにはモヤモヤ。バーでは勝子と丹下のやりとりで「私達と同じで(WUGも)生命力が強いってことかな」となんか美談っぽく落とそうとしていたが、全然美談ではない。申し訳なく思うなら一回くらいは頭を下げろ!
それが出来ないなら「間接的に丹下の持ち逃げの原因になった勝子が罪の意識を感じてWUGに謝って…」という展開にも出来たはずだ。
作画も最後まで「汚くはないが綺麗とは言えない」微妙なクオリティから脱することはできなかった。ライブシーンを除いても「アイマス輝きの向こう側へ」「劇場版ラブライブ」など同じ劇場版アイドルアニメと比較してしまうと無視できない差が浮き彫りになる。
「青春の影」のレビューでも書いたが、本作はなにかと「山本寛」という名前だけで嫌な先入観を持たれがちだし、主流のアイドルアニメに比べると総合点では劣ることも確か。しかし決して駄作と言えるほどの低クオリティではなく、見るべきところは確かにあるし、こういう「主流から外れた『異端』」があってもいいとは思う。
だが、やはり最後まで、TV版、前作も含めて「あと一歩」感は否めなかった。面白いのだが、素直に「面白い!」と断言できるようなクオリティにはあと一歩及ばない。そんな「惜しさ」がつきまとう作品だった。
本作を最後にその活動を停止したシリーズだが、ここで終わってしまうには惜しい。是非、本作のサブタイのように「Beyond The bottom(どん底を越えて)」して、再びアイマスやアイカツなど「正道」のアイドルアニメと戦ってほしいものだ。
この映画も同様に2期の前に見るべきだったのに、今さら回収してます… まあ七人のアイドル→1期→続・劇場版→2期と、正規ルートで見返しているので許して。
映画前編では、アイドルの祭典で2位になった時の7 gils war(早坂さんが作曲)に大手レーベルが目をつけて東京進出する。早坂さんの曲がないこと、レーベルの歌や衣装がカスなこと、東京というアウェイもあって惨敗した。そんな彼女たちの元に、早坂さんが暗闇から現れるとこカッコよすぎた。
映画後編では、仙台に戻ってアイドルの祭典に向けて全国行脚したり、WUGおじさんがファンクラブを立ち上げたりした。やっぱ彼らの活躍が好きすぎる。アイドルの祭典と光塚の受験日が被ったため、菜々美が光塚という昔からの夢を選んだけど結局アイドルの祭典に来てくれたのはいいシーン。