2019/04/19
アイアンマンみたいなウルトラマン。
CGじゃなければもっとよかった。
MARVELの『スパイダーマン』に似た、望まずヒーローの力を得てしまった者が本物のヒーローになっていく物語なのだが、優れたアクションに比べてストーリー面では凡庸、という感想に落ち着く。
先人である『Infini-T Force』と同じく、スーツアクターによるアクションを取り入れた殺陣はまさに超絶技巧。普通の剣とは似ても似つかないウルトラスーツのスペシウムブレードやエーススーツの袖からのビームソードもちゃんとスタイリッシュなアクションに落とし込まれていて、セブンスーツの剣さばきなど正統派のアクションもカメラワークも相まってしっかりかっこいいものになっている。
演出面でも、元ネタであるウルトラマンの技をしっかり現代風に落とし込んでいてグッド。
しかし、脚本・キャラクターの面ではどこをとっても「普通に面白い」の域は出なかった印象。進次郎のヒーローとしての成長はきちっと描ききっていたが、物語全体は2クール目前提ゆえにブツギリ感があり、不完全燃焼感はどうしても残る。
目につく問題点もいくつかあって、例えば、SSSPの大人たちだ。彼らはウルトラマンの因子を持つ進次郎をウルトラスーツの装着者に任命し地球防衛の任務を与えるが、進次郎はスーパーパワーを持っているとはいえただの高校生であり、その両肩に「日本の平和」という重すぎる任を与えてしまったことに対して、何も感じていないように見えてしまう。それどころかSSSPは進次郎をウルトラマンとして覚醒させるためにジャックの手引で実質的に怪獣を進次郎に差し向けるなど正義の味方とは思えない所業にまで手を染めている。未だに謎めいた存在であるゼットン星人はいいとして、イデは進次郎の知己でもあるのだから、もっと思い悩んでもいいのではないだろうか。
関連して、ダンが戦場においては甘ちゃんにすぎる進次郎にキツい態度をとるシーンでも、「その前にその怒りの矛先はSSSPの大人に向けられるべきでは?」と思ってしまう。
また、SSSPの職務の範囲もいまいちわからない。犯罪を犯した宇宙人の撃滅、というのはわかる。しかし進次郎は宇宙人の関わらない事故や事件にもウルトラマンを装着して出動しており、SSSPの所有物であるはずのウルトラスーツが進次郎の裁量一つで運用されているように見えてしまう。
そのせいで間接的に一般人にウルトラマンの正体がバレかける、というポカもやってしまっており、全体的にSSSPが迂闊に見えてしまう。
正確な評価は2クール目を見てからでないとなんとも言えないが、先も述べたように現段階では「普通に面白い」の域は出ない作品。