TV版ももう3年前なので細かい展開は忘れてしまっていたが、大筋はわかっていたし、本作特有のノリは見ている内に思い出せた。チームラビッツのザンネンさと、そのザンネンさからくるどこか「しまらない」感じは相変わらずで安心させられる。
「イズルが欠けたチームの面々が彼の復活を祈りながらも、今度は『イズルにとってのヒーロー』になろうと奮戦する」というストーリーの流れも悪くなく、チームラビッツのメンバーやゴディニオンのクルーなど、主要人物たちにちゃんと見せ場が用意されているのはグッド。特にイズルの欠けた穴を埋めるべく、リーダーとして一生懸命振る舞おうとするアサギや、いつものブチギレ芸を見せながらもチームを思いやる一面を垣間見せたアンジュはカッコいい。
だがストーリーよりも何よりも、見るべきはTV版から更に進化したアッシュ(ロボット)のフルCGアクション!「コードギアス 亡国のアキト」でも神がかったアクションシーンを描いたオレンジの手がける各アッシュのスピード感・躍動感に溢れた超絶アクションにはとにかく脱帽。
TV版と同じく速すぎて何をやってるかわからない部分もあるものの、どのアッシュも時にダイナミックな、時に精緻な動きを見せてくれるので見ていて飽きない。レッドファイブのビル群の隙間を抜けながらの高速戦や、敵に吹き飛ばされて地面を転がるなど細かいシーンにも不自然さがなく、この品質の3Dアクションを劇場で見られるというだけでお金を払う価値がある、と言ってもいいほど。
ここからは気になった所。
ストーリーは面白いところもあるが、TV版と違ってウルガル側の人物とのドラマがないことに加え、上映時間もあってやや薄味で、圧縮されている感がある。特に前半はTV版の回想(オペレーション・ヘブンズゲート後半~イズルとジアートの決戦)にも時間を割いているので、圧縮具合に拍車をかけている。
TV版の頃からMJPにストーリー面での「深さ」はあまり求められていなかったのでファンとしてそこまでがっかりしたわけではないのだが、コレの割りを食ってチームフォーンら新メンバーがあまり活躍できなかったのは残念。彼らは鳴り物入りで登場したにも関わらず掘り下げが足りず、活躍も少ない。一言で言えば彼らはディオルナの噛ませ犬でしかなく、後はドーベルマンのメンバーとともに無名のウルガル兵を倒していただけだ。ちょっとかわいそうな気がする。
前半の回想シーンはジアートvsイズルの戦いをスクリーンで見れたのは良かったが、このあたりは削ってもう少しチームフォーンの面々の掘り下げに当てても良かった気がするし、最終盤でラビッツの支援に駆けつけるぐらいの見せ場はあっても良かった気がする。
また戦闘シーンは基本素晴らしいのだが、一部カメラワークが遠すぎて「もっと細かいアクションが見たいのに、見れない」シーンがあったのも惜しいところ。
更に言えば、せっかくフルバーストモードでの戦闘を披露したブルーワンがディオルナに瞬殺されてしまうのも個人的には不満。もっとあのアクションが見たかった…。
進化したオレンジのアクションをスクリーンで見れただけでも大満足な映画。さらなる進化を遂げたオレンジの超絶アクションをスクリーンで堪能しよう。