この世界にまるで「神」のように座する「超高度AI」のもたらす影響を描いた2篇。
前半は陰謀論に堕ちちゃった人の話。超高度AIって「神様が現実に現れちゃった」みたいなもんだし「支配されてる!」って錯覚しちゃう人、この世界には五本木に限らずいるだろうなあ。描かれてないだけで、既存の宗教感もだいぶ変わってそう。
そして後半。「超高度AIという神秘的な存在がかえってスピリチュアルブームを呼ぶ」「宗教の世界にAIは立ち入れないから、そこはまだ人間の領地」という着眼点がシャープすぎる。たとえ偽善であっても善は善。それで救われる人がいるなら偽善を成し続けるという勅使河原の信念が美しかった。須藤との会話からすると勅使河原も超高度AIの関係者なんだろうけど、「超高度AIには人を救える力があるのに、彼は誰も救わない」という失望、根深そう。ミチはなぜ神にも等しい力を市井に分け与えないのか。この理由は残り2話で少しは明かされるのかな?