白石の行為は横領であり、刑事罰に問われても仕方ない行為。
ドラムセットは学生のバイト代で買えるし
ドラムの練習にスタジオを借りる必要はない。
正当化できるような事情があるわけでもなく
経緯を承知の上で不問にするならメンバーも共犯となる。
彼に肩入れする主人公に、茨の道を歩む覚悟があるのか甚だ疑問。
世に出す前に、脚本をコンプライアンスに照らしてチェックすべきだったと思う。
コンテスト決勝の結果は順当というところ。
ポピパはいつもの調子、主役はRASだった。
一時的とはいえ、パレオの脱退は予想外であり
この件でチュチュが過ちを認め
バンド内の不和は収束に向かった。このシナリオは
企画チームの間で意見が分かれたかもしれないが
悪くない落とし所を探り当てたと思う。
競合するグループへの敵対的言動を繰り返し
それに周囲が気遣う構図は歪みをはらんでおり
コンテスト途中経過の好成績に増長し
仲間への同調圧力に及ぶに至った状況には
これを打破するため「劇薬」が必要と感じた。
離反が無ければ、和解に至らなかっただろう。
六花とマスキングが行方知れずのメンバーを捜す場面は美しかった。
悪くない出来なのだが、最初のTVシリーズ(1998年版)
と比べてしまうと見劣りする。
当時、原作と展開が異なることで賛否両論あったのだが
あれはあれで好アレンジだったといえそうである。
とりたてて新作に欠点があるとは思わないが、
旧作を再評価する機会になった。
この回の主役はマスキングだな
(下記は後日加筆)
あの場で言い争うより「そうかよ」と捨て台詞吐いて立ち去るほうが
怒りを表現できる、ということなのだろう。
殺伐とした展開が延々と続く、陰鬱なストーリーだが
所謂「精神世界」へ視聴者を引き込む演出は巧みである。
主要人物は裏稼業に身を投じ、当初は悪事に荷担するも
仲間を守ろうとしたがために、雇い主に敵視され
組織から追われる身となり、複数の世界を巡って
駆け引きが繰り広げられる。
すでに廃人と化し、死人同然に扱われていた者と
再会を果たせるかもしれない、と匂わせた場面で幕を閉じるが
現世では破滅同然の日常を送る者たちが、いかにして
精神世界に活路を見いだすか、その先を知りたくなった。