ここまで設定を練り込んだのだから、1年くらい続けてほしかった。
展開が遅いから、1年やるものと思っていたので
11話の急展開に絶句した。
決勝進出チームは、出会ったライバル総員。
モブキャラは不在。出来レースにしか見えない。
架空の世界でドラマを撮っているかのような感覚を覚えた。
序盤の1クールは出会いと準備期間、そこから2クールかけて
主人公チームが予選を勝ち上がり、終盤5~6話で
各チームの細かな駆け引きを描く決勝をやるもの、
と予想していたので、ラスト2話の詰め込み感が否めない。
資料を見ると、制作者は
好きでアニメをやっている人たちであることはわかったので
スタッフの健康面を考慮して1クールに収めたとしたら、
その判断に異存はないし
予選をすっ飛ばした11話の展開を除けば申し分の無い出来。
1年くらいかけて完全版で観たかったと思う。
女性キャラクターの顔立ちが、
まるでスタンプにして押したようにそっくりで
制作現場の「効率重視」な方針を感じ取れる。
これはまだよいとして、看過できないのは
劇中に作者が私怨をこめたとみられる演出が
散見される点である。
(平岡の言い分は概ねもっともだと思ったが)
特に「続・ちゃぶ台返し」の回は
出版社に対する描写が、度が過ぎていると感じた。
類例があるなら、経緯を知りたいものだし
もし劇中に登場した出版社や原作者にモデルが存在しないなら、
そのほうが問題だろう。取引先への背信行為ではないのか。
こうした演出をよしとする視聴者には、それとは逆に
「制作者が、原作者の意にそぐわないものを作ってしまう」
ことへの是非を問いたいものだ。
根底に流れる「同業者バンザイ!」な空気感が気味悪かった。
原作の無いオリジナル作であることが、ますます印象を悪くしている。
「原作が無いから、これほどの暴挙ができたのか」と勘ぐってしまう。
欠くことのできない勇士を3人も行動不能にしてしまったことで、シナリオが行き詰まった。過去の英雄たちの不在で、主役に繰り上げられた整合騎士たちでは、派手な戦闘シーンを繰り広げたところで、体制を支えきれないだろう。前作の本編や設定資料を見た印象では、ユージオとカーディナル抜きでアンダーワールドの混迷を収束するのは不可能、という実態が浮かんでくる。
SAOはキャラ売り作品であり、一部の人気キャラクターが売り上げのほぼ全てを支える構図のコンテンツ群である。第2期あたりまでは、この状態を維持することで業界内の地位を保ったが、劇場版あたりから企画サイドが妙なプライドを出したらしく、それまでの主要なキャラクターを軒並み排除し、キャラクター人気に頼らずともネームバリューで乗り切れると考えたのだと思われる。それが「アリシゼーション」で視聴者が感じた、作り手の(異常なまでの)気負いの原因だろう。結果は見ての通りである。繰り上げ主人公格のアリスは、物言わぬ英雄に泣いてすがり、終盤にアスナとシノンが介入して幕を閉じた。
ストーリーは前作「アリシゼーション」の時点で破綻し、今作の不評は、前作で観客を無視して非道な展開を続けたことで従来のファンが離れており、そのとばっちりを受けたともいえる。これまでの蓄積があるだろうから企画自体が頓挫することはないと思うが、ネームバリューで何でも突破できると思ったら大間違いということだろう。
大義のために闘う側の心理を
汲み取る理解のために一言添えておくと
「主犯格に話し合いは通じない」ということ。
アダムを撃破しなければ、一連の事件は収束しない。
操縦されている者はその限りではないので、
秩序を回復する側がとるべき対応は異なる。
内容もさることながら、内容よりも
企画をめぐるトラブルのほうに話題が集中した。
監督が打ち切りに不満を表明した報道から察するに、
打ち切られたことは事実らしく
監督は雑誌のインタビュー記事で
業界に対する問題提起をしたようだが
おおかたの視聴者は「打ち切りの原因は内容」と捉え、
監督に同調する者はほとんどいないと思われる。
「いかにして視聴者を不快にしてやろうか」とでも
思ってそうな演出に心血を注いだ本作に加え、
被害者意識をにじませたコメントが
メディアに流れる経過がひたすら痛い。
監督は原作・脚本を兼ねており、ブレーキ役がいないことの
弊害を示す例として認識されることになるのではないだろうか。
https://ch.nicovideo.jp/assassinspride-anime
https://fod.fujitv.co.jp/title/5c39/
https://www.b-ch.com/titles/6723/
https://animestore.docomo.ne.jp/animestore/ci_pc?workId=24383
https://www.amazon.co.jp/dp/B086LFC5QP/
舞台設定は良かったが
十二分に活かせていない感あり。
不足は主人公の存在感が薄い点。
作り手がヒロインの描写に注力したためか、
終盤は主人公が登場する必要性に疑問を感じた。
ヒロインの実父を自称する不審者を取り逃がしていたが、
過去の事件で主人公が発動させた能力を思い起こせば、
彼はあの場から敵を追尾して素性を特定することは
可能だったのではないか。
ヒロイン以外はすべてモブキャラ。
主人公も、モブのひとりでしかなかった。
原作未読だった大多数の視聴者は、視聴後に
ヒロイン以外のキャラクターの名前を思い出せないはず。
ありふれた「深夜枠のギャルアニメ」に収まっていて、
もったいなかったと思う。
テーマ曲はともに上々の出来。
オープニング曲はアレンジ面で人を選ぶが、
エンディング曲は心に刺さる良作である。