老人ホームでレクリエーション的に落語をするのか。享二の前座としてあかねは登壇する。周りは老人ホームなのでおじいちゃんかおばあちゃんばかり。枕でこの場所の空気を探りながら、居酒屋の店長みくちゃんの言葉も思い出しながら実践する、つまらなそうな客に対して最後のアイコンタクトを行っていたり居酒屋で良く学んできたなと享二も思っていた。今回は子ほめという題目、客に会わせてゆったりしたテンポでこの題目を行った。しかし、あかねは噺のテンポが上がってきている、自分の見せたいテンポでやるために耳を慣らせていった。確かに前のあかねと今のあかねを表わしているような題目だから噺が近くに感じる。志ぐまから落語に出てくる人の気持ちがいつか分かるようになる、だからいろんな経験をしろ、それがいつか糧になると話されていたことを思い出し、あの時やこの時、そんなあかねの経験がこの瞬間につながる、落語にも繋がっていく。それを理解してここでの噺を終えた。
享二にも見違えたなと言ってくれた、あかねは享二にありがとうございましたといい自分が狭いところばかり見ていたとよくわかった、また少し落語が好きになりそうといった。
次は享二の番、兄弟子の高座だ。あかねは初めて見るみたいだが、まず姿勢がきれいだし、仕草の一つ一つが丁寧。何もかもが真面目過ぎる、器用ではないが真面目過ぎれば面白くなる。
師匠は与えるばかり、確かにそうだよな、それでも師匠である志ぐまは我が子を見るように損得関係なしに面倒を見てくれる。享二もそういう人になる、あかねに追いかけてもらえるような兄弟子になると享二は思った。享二のことを兄さんと呼ぶ。確かに家族同然の仲だからそう呼ぶべきよな。あかねと初めて名前も呼んでくれた享二に大きな声で返事をした。中間テストは今から勉強して間に合うのかな…?家族の呼び方をした小噺。呼び方ひとつで家族の絆が感じれていいね!
あかねが成長著しいが、こんなにうまくいくものではないだろう。ライバルの登場や壁にぶち当たりそれを超えていくあかねを見るのが楽しみになってきた。