2度のデートを巡って三者三様の思いが対比的に顕れていてとても見応えのある回でした。
天候やあきらの服装があまりに対照的で笑ってしまうほどでしたが、心情面でも丁寧な描写がされているように感じました
加瀬があきらのちょっとしたミスを手繰って約束を取り付け、心の傷を抉り、そこにつけ入ろうとするのは刹那的な関係で自分の利益だけを求めるアプローチの仕方であって、相手への思い遣りや気遣いといったものは微塵も感じられません。
また正己も独白したとおり、自分を守りたい、傷つきたくないという思いから何もアクションを起こせずにいます。
拒絶するでもない曖昧な態度は緩慢にあきらを傷つけるものであるのですが、一方で徐々に彼女に魅せられ揺れ動く様も描かれています。3人中最も難しい局面にあるように思います。
そしてあきらの姿勢も私を見つけてほしいという自己欲求から出ているのは2人と同じですが、ハッキリと異なるのは何より「好き」という気持ちが原動力になっている点です。一度観た好みでもなさそうな映画を褒め、乏しく不慣れな気遣いを発揮して砂糖を入れすぎて…と懸命な思い遣りを見せています。
別れ際の加瀬があきらの頬にキスしますが、あきらは妄想しつつも思い留まる。加瀬の行動はマーキングのようなものかもしれませんが、あきらのそれは自身の照れや羞らいではなく、恐らく求めていないだろう正己の心情への寄り添いがあるように感じました。
加瀬との時にだけ映された「航行禁止」の看板や1話に続いて屑かごから外れてしまった紙くず、要所要所で印象付けられる足の手術痕など気になる表現もたくさんありました。
あきらや正己の心の動きをしっとりと感じられるのがとても好きです。次回が楽しみです。
これは完全に余談ですが、個人的にはわざわざバイトに入ってきた吉澤くんがいつかあきらのピンチを助けてくれるのでは、と期待しています。彼、とっても好感が持てるキャラクターですよね。