他にありそうでない、良い雰囲気を纏った作品だった。
学園・日常シーン×アクション・事件シーンの塩梅が絶妙。
日常パートがやや退屈に感じる時もあったけど、その積み重ねによって他の部分がより活きてくる構成になっていて、色んな要素が程よいバランスで混じり合っていたからこそ成り立つ作品だな、と。
劇的な展開や、分かりやすい感動的シーンが前面に出ている作品ではないものの、緩やかに築かれていく周りとの人間関係や、主人公・モニカの成長が丁寧に描かれているところが魅力的。
内容的にはかなりシリアスな場面もあったけど、日常シーンで中和させることで、全体的に重くなり過ぎないライトなタッチになっていた点もこの作品の持ち味かな?
突出して面白い部分は感じなかったけど、総じて良かったので評価はこのくらいで。
●「よくある設定だ」という批判に関して
確かに、なろう系御用達の「実力を隠している主人公が実は最強」系の作品ではある。
ただ、同系統の作品の多くが、主人公の無双シーンや、理不尽な状況を跳ね除けていくカタルシスを主軸に置いているのに対して、本作品はそこをあまり見所にはしていない。
モニカが力を行使する場面も、誇示するように描かれることはなく、どんな場面であっても「誰かのため」という利他的な動機が先立っているので、好印象。
それと、こういう作品にありがちな、主人公を引き立たせるためだけ用意された、過剰に持ち上げるキャラや、逆に理不尽に蔑むキャラが少なかったのも良かった。
「主人公のみが無詠唱魔術を使える」というよくある設定も、本作品では物語の重要な鍵として機能していたので、単なるよくある設定と切り捨てることはできないかな。
●ちょこっと批判
気になった点としては、キャラクターが意外と覚えづらかったところ。
モニカとの関係性や物語上の重要度に大きな差が感じられず、どのキャラも程よく関わっていた分、印象が分散してしまった感じがある。
イザベルやクローディア、ベンジャミンなど、個性の強いキャラクターはいたものの、他のキャラも含め登場頻度や役割が比較的均等だったこともあり、記憶に残りにくかったのかもしれない。物語が進むにつれて登場人物が増え、それぞれのエピソードが並行して描かれていく構成も、その一因だと思う。
名前がよくある西洋名だったのもあるかな。
個人的にはイザベルとの関係性は、もっと見たかった。
(とはいえ、キャラクター数がそこまで多いわけでもないし、初登場時の注釈も丁寧だったので、単純に自分の記憶力の問題かもしれないが。)
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