1期に続き素晴らしい作品
1期で積み上げてきたガッチャマンとしての肩書や組織性や国民からの信頼、1つになることで困難を乗り越えたラストの国民たちの展開などの要素を逆手にとって構成してきた印象。
インサイトでは特に『考えること』を常に重視していて、新ガッチャマンのつばさと新キャラ宇宙人のゲルサドラが注目されて話が進んでいったがはじめを筆頭に1期から登場したガッチャマンとつばさの明確な違いは「1度立ち止まって考える、衝動に駆られない自らの俯瞰。」己の中に掲げる理念を全うしようとするがあまり歯止めが利かなくなり結果取り返しのつかないところで事の重大さに気づく、そんな正義が及ぼす側面・盲目になっていく過程がとても鮮明にかつ選挙という形で描かれていてとてつもない説得力を持っていた。
ゲルという人の心を可視化することのできる能力でマジョリティの弾圧をしたり、くうさまによって同調圧力による拘束で国民を監視したりなど、心理誘導は行き過ぎると『洗脳』へと姿を変えその成れの果てが『恐怖政治』に収束するかつての人類社会と同じ結末を辿ろうとしていて、たとえ宇宙から来て能力があったとしても人間の心理の統制力の欠落で良くしようとした世界が改悪されていく様の皮肉が後半に特に効いてきてて美学にさらに磨きをかける要素としてとても秀逸だと感じた。
またそんなトップを決める国民サイドの描き方もとても残酷に描かれていて、「長いものに巻かれる」という日本人が昔から潜在的に持つ性質の理解がとても深く、衝動に駆られろくに考えもせず、周囲に合わせ、一面的な内容で批判する現代日本人の醜さが痛いほど伝わってきた。
また責任の擦り付け合いのシーンなどの醜さも秀逸だと感じていて、スマホ選挙にすることでその場で投票できる即決性にすることにより判断力を鈍らせ、さらには「ゲルにおまかせ」ボタン作りそれを国民にを思考停止で押させ責任転嫁を続けさせた結果あの事態を招いてしまった。優秀かつ自分たちの理想に近い人物が上に立った時人は思考することを抑えてしまい一任することで完全な思考放棄の像が確立されてしまう…それでも国民は考えた末皆この結論に辿り着いたという、思考することと放棄することの表裏一体性をとてもよく表現出来ていてとても胸を打たれた。
今回は序盤から理詰夢がヴィランサイドのキャラとして出ていて、赤いクラウズの処理から物語は始まるのだが抑止力として機能していた赤いクラウズが消え理詰夢が拘置所へ送られてから事態がますます悪化し理詰夢のもとに救援要請して助言を提示しながらも最後はシャバに出て協力してことの収集にあたるキャラクターの見せ方が個人的にとても好きだった。
次にはじめの人物像と立ち位置だが、インサイトになってより達観するような立場になっていてことのスピード感に思考を巡らせるスピードが付いていかなかったのだと思うが、他のガッチャマン達も同様はじめも思考を巡らせることは常に怠らず、つばさを筆頭にすべてに寄り添い続けていて1期で見た『ヒーロー』の像をより鮮明に感じ取ることが出来てよりはっきりとした形で。腑に落とすことが出来た。
またつばさのおじいちゃんもはじめ同様常に思考を止めず、衝動に駆られず冷静でいて、10話で現状起こっていることが戦争時の日本と同じことを告げつばさに思考を取り戻させるくだりやみんなの作り出している「同調圧力という名の空気」を吐き出すという伏線を1話から毎朝の深呼吸で暗に示していて陰のキーパーソンとしての役割を全う出来ていてとてもかっこよかった
最後に1期からの継続テーマである「ヒーローの所在」「正義の所在」についてもインサイトで深く触れられていたと感じていて、結論みんなの心の中に掲げる理念が起こす行動がそのまま正義でありそこに明確な善悪は存在しない、という描かれ方だったがそんな正義と正義のぶつかり合いをしたときに発生する火花が「悪」として今作で描かれていて正義があるうえで生まれる悪という存在の強調をされており、でもそんな正義が生んだ悪にも一概に悪だと断定するのではなく見方を変えることにより「転じて悪を生み出してしまった」と一面を見出すことによってそんな悪でさえも救いの手を差し伸べる「みんなのヒーローガッチャマン」としての落とし込みが完成していてそれがとても美しく1期からの提起の回収をしてくれてとても素晴らしかった。
1期同様人間の大衆統制や誘導の要素も踏襲しながらもインサイトでは『ふと立ち止まって考える』ことの大切さを常に問いてくれており、この令和という現代にこそ見てほしいと感じるそんな名作だった。