原作既読。山王戦を3DCGで原作のコマ間も含めて細部まで描写しつつ、主に宮城リョータ目線の過去エピソードを挟んで再構成した作品。構成はかなり頑張っているが、元々がまったく違う構成の原作なだけに、リョータの目線で語るのであれば不必要な試合展開が沢山残っているとか、逆にリョータ以外の見せ場に背景が語られないとか、過去回想が入るとどうしても試合のテンポが悪くなるとか、原作の特に終盤はやはり花道が主役として描かれているからリョータの物語と描くには無理があるとか…違和感はあちこちに出てきてはいる。リョータのベタなお涙頂戴話を数十年経ってから急にぶちこまれても困る部分もある。原作の山王戦はチーム全体とそこまでの積み上げの集大成であって、そこを変えずにリョータのある種陳腐な物語を押し込むのはそもそも無理がある。こういう企画にした時点で物語や構成上の問題の発生は避けられなかっただろう。山王戦の方をリョータの回想にあわせて改編すると炎上するだろうし。
とはいえ…ビジュアルにはまったく問題なく、これくらいの品質で映像化してくれるなら違和感込みでもファンは非常に嬉しいだろう。終盤のスロー多用、無音の演出は(原作リスペクトだとは思うが)かなりクドくてあまり好みではなかった。1本の映画として見ると色々と気になる部分は多いのだが、原作が好きな人はファンサービスとして、知らない人は私よりは違和感少なめで楽しめるかもしれない。全体的に、原作を高水準で再現した功績と、リョータ要素をぶち込んだ問題が喧嘩をしていて、原作の力と再現のクオリティで押し切った作品という印象。