前回の人物的な物語の始まりに続き、政治劇が始まって本格的に面白くなってはきた。ただ、この時点で作劇設定上の微妙な軋みも感じる…実際のドレゲネとファーティマはおそらく、モンゴルを混乱させようとはしておらず、彼女らにとって経済合理的な政治行動を取ったに過ぎない。だから、彼女らがモンゴルを混乱させる意図の下暗躍したことによってモンゴルの行く末が変わったわけではない。だからこそ、この先はモンゴル史の必然を、彼女らの策謀の帰結だとあちこちで描き続けることになるのではないか、そこに不自然が生じるのではないかと懸念してしまう。今回、ドレゲネ・ファーティマによる金侵攻の会話でその萌芽を少し感じた。
また、オゴタイがモゲの真珠を貧者に与えるエピソードは歴史書からほぼそのまま取ってきているようなのだが、そこではオゴタイが寛大で豪放磊落な人物像であるからこそ自然に成立している。しかし、この作品ではオゴタイは繊細で妻に細かな気配りをするやや内気な人物として描かれており、その状況で実際は戻って来ない可能性も高い施しに妻の大事な品を自信を持って渡すというのは不自然さを感じる。史実上のキャラクターなら、多分戻ってくるけどそうでなくとも問題ない、で片付く話なのだが…。
まぁ…フィクションなので、嘘が混ざること自体に問題はないのだけど、無理に史実側に合わせようとすると作中の因果に問題が出るので、そのあたりうまく処理して欲しいところ。