亜細亜堂からWIT STUDIOに制作会社が変更され、物語的にも世界や人間関係が広がるパートということで非常に楽しみにしていたのだが…原作から持ち込まれたキャラクター、特にフェルディナンドとローゼマインのやり取りは面白く、部分的に見るべきものはあったものの、構成、作画、演出、劇伴に見るべきものは少なく、原作を尺に合わせて切り貼りしたダイジェスト作品のようなエピソードが大半を占めていた。
原作の分量が膨大なため、事実の羅列だけでも尺を使い切ってしまうことは理解できるのだが、多様な人間関係の中でローゼマインがあれこれと動き、周囲も影響されて関係性の変化が積み重なり、領地や国の未来に影響を広げていく…そうした作品本来の魅力の片鱗を見せることに成功したとは言い難い。
とにかく省かれたやり取りが多く、後の行動や事件への積み上げがスカスカに見える上、単純に原作やその設定との乖離が見えたり、映像化に際して改変した結果不自然になったり、ここぞという見せ場で微妙なアクション作画や構成を出してきたりと、アクションが得意なはずの制作会社に変更した意味も見出せず、感情・情緒を盛り上げるべきシーンですらそうした脚本に出来ず、足早に事実を消化する場面が目立った。
原作既読の立場からすると正直、この映像化ならなくても良いかも…という考えすら脳裏を過った。