ついに輪虎を……強かった。古代から中国には天の思想がある。人事を尽くして天命を待つだとか、天の配剤、天網恢恢疎にして漏らさず、だとか。輪虎は天への信仰が厚く、信は人の力への信念が強い。その差が最後に出たのかもしれない。輪虎には天に選ばれた自分が千人将如きに負けるはずがないという先入観が最後まであったと思う。
後方予備隊の羌瘣は介子坊の精鋭500騎を相手に一人で斬り伏せた……無茶しやがって。
羌瘣は史記にも勇将として登場し、王翦と楊端和と共に末期の趙に攻め込み、幽王を討ち取ったとある。こんなところで死ぬ玉ではない。
信は武功を上げてこれだけ負傷しても尚、本陣の廉頗を討ち取るつもりか。