呂不韋、大きく出たなぁ。大商人故に説得力のある貨幣経済による天下統治論。
中華の歴史は経済と武力のダイナミズム。
けれど、良き治世とされた時代は常に王(皇帝)の徳を持って治められた。故に力を欲する者は皆、皇帝になろうとする。習近平に至るまでその例に漏れず。
秦朝の治世は、法による支配(法家・韓非子)が徹底され、度量衡の統一は商業の発展に繋がるとはいえ、税の徴収など支配様式の一元化の色合いが強かったと言える。
シルクロードが開かれたのは漢代とされるが、Chinaの語源は「秦」なので、秦代に既に交易路の広がりがあったと考えられる。
「呂氏春秋」は、諸学派の思想に加えて自然科学など百科事典的な面もあったため、編纂させた呂不韋の清濁併せ呑んだ多様性を好む指向を伺わせるものがあるかと。
その点において、統一という一元化を志向した始皇帝と多元化を志向した(かもしれない)呂不韋の対比が巧みに描かれた回かなと。
ただ、呂不韋は結局、いろいろと行動がゲスいので、実際にはそこまで壮大な世界観を持っていたとは思えない。