「2年より前の記憶をクリーニングしてしまった。」
という本人のセリフ。
“消した”でも“なくした”でもなく、“クリーニング”。
ずいぶんとオブラートに包まれた表現で、
原因や経緯は依然として明かされないままだった。
軽い言葉に聞こえるのに、
内容は決して軽くない。
そのギャップが、かえって不穏さを強めているように感じる。
前回は銭湯、今回は宿の源泉掛け流し。更にまた銭湯。
もしかして毎回お風呂が入るタイプの作品なのだろうか、と少し思ってしまう。
物語の核心に迫る緊張感と、
どこかサービス的な描写が同居しているのも独特だ。
このバランスが今後どう作用するのか、気になるところ。
一方で、洋服に対する強い思いを語る場面もあった。
あの熱量を見ると、
そのあたりの記憶ははっきり残っているのだろうかと考えてしまう。
“失われたもの”と“残されたもの”。
その線引きにも、何か意味があるのかもしれない。