葉月ちゃん
何を言っているんですか
人は何でも
変えることができるんですよ!
今日の結果だって
来年は違うものにできるのです!
葉月ちゃんは誰よりも
高く飛びたいのですか?
ならば 誰よりも
低く身構えるのです!
高校生なのに
分かったフリして
大人のフリして
世の中なんて こんなもんだって
全部 飲み込んで我慢して…
でも そんなの何の意味もない
後悔も 失敗も
全部 自分で受け止めるから
自分の道を行きたい!
そう素直に言えばよかった
反対されても
そう言えばよかった
だから今度は間違えない
境界線 引いて
踏み込むことは絶対にしなかった
気になって近づくくせに
傷つくのも傷つけるのも怖いから
なあなあにして
安全な場所から見守る
そんな人間に
相手が本音を見せてくれてると思う?
好きとか嫌いとかじゃない
だって母親は
どこまでいっても母親だから
どうあがいても その人から
生まれたという事実は動かない…
枷ね 一生 外せない枷
あの人の中には
明確な幸せの理想像があって
そこに吹奏楽は入っていない
最初から
吹奏楽コンクールは年に一度
その一度の大会を目指して
私たちは
朝も放課後も 夏休みも…
汗と涙をかれるほど流して
休むことなく練習した
たった12分間の本番のために
おそらく 今
本当に冷静でいられる人なんて
1人だっていやしない
この時間は永遠ではない
大好きな友達とも
いつか離ればなれになって
どんなに願っても すべては
瞬く間に過去になっていく
今という この瞬間を
容器に詰め込んで
冷凍保存できればいいのに
そうすれば怖がることなんて
何もないのに…
その指 息の強さとタイミング
求めるべき音は
ちゃんと頭で鳴っているのに
実際に その音が出ないもどかしさ
次々と 確実に狙った力加減で
狙った息の強さで
狙った音をリズムに合わせて
出していくとこが
いかに難しいか…
私は思い知らされていた
結局 諦めてないってことだね
オーディションに
不満があるとかじゃない
まして同情されたいなんて
少しも思ってない
ただ納得してないんだろうね 自分に