冒頭、こういった異常な状況で平静にしている人間というのは何か「強さ」を感じさせてよい。警察が来ている場面もキャラがこの世界(また人間関係)に根付いて生きているのを示していて丁寧だ。(セカイ系的な「向こう側」の世界の感覚とは対照的と言える)
満月は「私には何もないから」、何者かになるのではとグランベルムへの参加に希望を見出す。こうした心理は美少女バトルロワイヤル系の大元にいる鹿目まどかと同じと言ってしまっても良いものだが、重要なのは新月がまどかにしばしば言われたのと同じように「そこまで自己実現したいのか」と問う点だ。命を、存在を懸けても何者かになりないのか? 満月は「ほんとにないんだよ」と切実に訴える。ここには『まどか☆マギカ』を丁寧になぞりながらもその先を目指す姿勢が現れている様に思う。
また「別に周りに悪い人がいるわけじゃない」というのも別に誰かを倒してめでたしめでたしとはならない「どうにもならなさ」を示す重要な台詞だ。『魔法少女育成計画』などはバトルロワイヤルの形でありながらこの点で大きく性質を異にしている。