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とても良い

ラストの桃香の泣き顔が素晴らしかった。本作はいつもいい表情が多いが、際立ってよかった。仁菜と桃香の対立の終着点でありバンドの出発点という大事なシーンに相応しい、心に残る表情。
相手の存在に、相手の音楽に救われたのは、仁菜も桃香も同じ。だけど桃香はそれを思い出にしようとし、仁菜はそんな桃香に一緒に未来へ行こうと言う。
いい最終回だった。
……や、登場人物達のドラマとしては一つ大きな区切りがついて、本当にこの先どうなるの!?
仁菜の放送室占拠エピソード、あれこそまさに仁菜が桃香の曲に救われた瞬間だったとは。
談合坂での仁菜と桃香のケンカシーン、くるくると入れ替わる上手と下手から演出の意図を想像するのも面白そう。
「AKIRA」ばりにかっこよく演出された軽トラに笑った。

さてここで仁菜の過去シーンに刺激されて唐突な自分語り。自分が十代の頃、誰かと揉め事になったとき、どちらが正しいかなど一顧だにせず、揉め事を起こしたことそのものが罪だと言わんばかりにただただ場を収めることだけを強いる周囲が、特に大人が大嫌いだった。
正しさ(その正しさは視野の狭い浅薄な考えだと今ならわかるけど)が軽んじられる悔しさ。正しさが通らない世界に対する苛立ち。そして、そんなときに誰かが生み出した音楽や物語に救われることは確かにあるのだと自分は経験として知っている。
仁菜の中に自分が見える。
仁菜が度々口にする「間違っていない」という言葉を、そのときの彼女の心情を、自分はそんなふうに受け取った。



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