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とても良い

 とても良かったです。独特の絵作りが(具体的に指摘できるだけの知識も経験も何もありませんが)熟れて感じられて見ていて楽しく。楽でした。間がうまく取れているように感じられました(見る自分のほうが作品に合ってきたのもあるかもしれません。前回好きというとっかかりができました)。心惹かれる字に導かれて、名前も知らない書道部の人と出合います。……ふと5話のサブタイトルを見て、「灯」(単なる火ではなく)なことがはっと目に映り、そちらに筆を進めてみたくなりました。書き始めた時の予定と変わりますがそちらを感想にしてみます。
 「灯 語源」で検索してみたところ、「【漢字トリビア】「灯」の成り立ち物語」(ライブドアニュース2018年8月19日 11時0分 TOKYO FM+。「感じて、漢字の世界」というラジオ番組が元の記事の様です)の記事が上位にでてきてそれを見ました。漢字の成り立ちは難しいところで深入りできませんが、「灯」の旧字が「燈」で「登」という字が関わっていて面白く思いました。今回は山登りから始まったことを思いだしました。
 「灯」について、記事で、
"燃え立つ炎をのせて安定させ、掲げておくための蜀台の姿を表し、"(参考文献が3冊示されていますが、対応関係から『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)の記述、もしくはそれを参考にした上での筆者の考えのようです)
 と、炎(火)を安定させる機能の有無が単なる「火」と「灯(燈)」との違いだ、という認識で書かれていて、確かにその通りだと思いました。作中に寄せていえば、シャイが安定して火を出せる様になる過程の話で、まさに「灯」の話だと思いました。これは全く感覚的な印象ですが、「燈」と見ると燃え盛るかがり火のような「炎」を想像したのに対して、「灯」と見るとロウソクのような、もしくはコンロのような「火」をイメージしました。「炎」にひかれて「火」にたどりついたのが、なんだか、良い(好き)。と思います。
 (追伸)前回までの敵の悪意が文房具店のおばあさんを、いつ小石川惟子のように変えてしまうのかとヒヤヒヤしながら見てました。そういうことにならなくて、心底ほっとしました。
 (追記)「毎日ことばplus」(毎日新聞校閲センターの運営するサイト)の「ろうそくに「ひ」をともす…「火」「灯」どちら?」記事(質問ことば解説 2019.03.15)によると、記事では「灯」について新字源改訂新版を引用し、
"もと、燃えさかる炎の意"(孫引き)
 を表した、「燈」とは別字で、
"かなり古い時期(元、明のころ)から同一の意味で使われるように"(毎日記事より)
 なった上で、現在は旧字、新字の関係にある字、のようです。
 「燈」のほうが「明かり・ともしび」(毎日記事)、もしくは「蜀台」(TOKYO FM+記事)のような意味で、「灯」のほうがもとは燃える火の意味(毎日記事)で、直感の印象と逆でした。また、たとえ目に見える火は小さくとも安定したそれが有する力の大きさは不安定な時とは比べものにならないほど実は大きく激しさも秘めている、と考えると、こういう源がこの字にあったと知ったことは、登山者ピルツの起源の激情も思い出し、紅葉山テル/シャイの得た「火」の強さを想えた、この筆の旅の結末でした(無理やりまとめた風をよそおいました)。



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