原作未読。
楽しく本作を見ている人なら、この回をキャラクターの掘り下げや新たな一面、ルーデウスの家族愛や家族のルーデウスへの思いがよく分かる良回と評価するのだろう。しかし、私はすでにそのようには見られなくなってしまった。
ここらで一度整理しておきたい。
2期までは、無職転生を「選択や代償から逃げない作品」だと思って見ていた。だからこそ、ヒュドラ戦で左手を失った時も、そのハンディキャップを抱えながら成長していく物語になるのだと期待していた。しかし、その前に2期終盤で一つ大きな違和感を覚えていた。それは、シルフィという妻がいながらロキシーを第二夫人として迎えた展開だ。
私が受け入れられなかったのは一夫多妻制そのものではない。私にとって物語の面白さとは、何かを選ぶということは何かを失うことでもあり、その選択の重さや、誰かが傷つくことも含めて物語の美しさだと思っている。
視聴者としては登場人物全員に幸せになってほしいと思う一方、創作としては「全員が幸せになる」ことが必ずしも良い結末とは思わない。シルフィもロキシーも、そしてルーデウスも大きなものを失わずに収まったことで、積み重ねてきた葛藤や選択の重みまで薄れてしまったように感じた。
その不信感を抱えたまま迎えた3話では、左手の喪失という重大な代償も魔道具によって比較的あっさり補われ、「この作品は重い出来事も最後には都合よく解決する作品なのではないか」という疑念が決定的になった。以降は作品を見る視点そのものが変わってしまい、「今回もどうせ都合よく終わるのだろう」という先入観を持って見るようになってしまった。
その状態で見た5話は、お祝いを中心とした日常回だった。冒頭に言ったように、もし2話までと同じようにキャラクターへの愛着や作品への信頼を保ったまま見ていれば、兄妹や家族の関係性を丁寧に描いた良いエピソードとして楽しめたと思う。しかし現実には、開始数分で結末が読めた時点で等速で見る気力を失い、2倍速と10秒飛ばしで内容だけを確認した。
本筋もほとんど進まず、私には作者の都合や願望を見せられているようにしか映らなかった。5話が悪かったというより、3話で失った作品への信頼が、日常回を楽しむために必要だったキャラクターへの愛着まで奪ってしまったのだと思う。
非常に残念ではあるが、作品愛を失ってしまった状態で文句をいいながら本作を見続ける価値があるのか迷っている所ではある。