ジャンプコミックス26巻収録分。
前回のハドラーとの手合わせで、ダイはバランに言った。
「誇りだの何だのにこだわってて、やることもやれない様なら、真の竜の騎士なんかになりたくないよ。おれには人間の、母さんの血も流れてるんだからさ」(53話)
今回は、「わたしのベホマと協力して」とレオナに言われている逆の状況。以前のダイだったら、レオナの提案通りにふたりでハドラーに立ち向かっただろうが、この違いはダイの心境の変化から来ているのか?それともダイ自身は実はぶれてなくて、前回とは状況が異なっているから一騎打ちに応じたのか?なるほど、当時のハドラーはまだ大魔王の下僕だったが、今は違う。
レオナも言っていた様に、大魔王が漁夫の利を得るだけの最悪のタイミングではある。それを重々承知したダイに「この挑戦を受けなきゃ男でいられないような気がする」と、他でもないダイにそう言われてしまったら、ダイのその様な一面に惚れたレオナの立場ではもう黙って見ているしかなくなってしまう。普段の公人としてのレオナならばこの様な提案は受け入れないだろうが、相手がダイならば話は別だ。
ここはレオナが感じ取ったように、「ダイが少し男になった」と解釈するといいのかな。
マァムと女王アルビナスが対峙するこのシーン、ダイ大が再びアニメ化されると聞いた日から1年余り待ち続けた。誇張ではない。
女王の表向きの目的は、ハドラーが一騎打ち出来るようにほかの仲間を食い止めること。マァムがハドラーの意志を汲み、一騎打ちへの「静観」に同意すれば女王の目的は達せられるのだから、マァムが「この戦いは無益」と言ったことは女王にとっても一理あるはず。だが、女王には別の狙いがある。
よく見ると女王はあまり正々堂々としておらず、自分は嫌いじゃないが、今のハドラーが嫌うであろう一面も持っている。劇中でのニードルサウザンドは「不意打ちの為の技」という印象が強いが、今回も例外ではなかった。裏表のある曲者を、ベテラン田村ゆかりが好演している。
ところで女王は、マァムのことを格下の敵と見下しているが、普段の彼女が真の実力を隠した達人であることに気付いていない。次回、己の慢心に思う存分後悔して頂こう。それにしても「愛の超激突」とはなんというサブタイか。その名にたがわぬ激闘から、一瞬たりとも目を離すな。