ジャンプコミックス27巻収録分。
サブタイ通り、全編がダイとハドラーの決闘というエピソード。
ダイのキメ顔や構えの格好良さなど、作画の良さが強く印象に残った。
総作画監督をEDで確認したらヒーリングっど♥プリキュアの山岡直子さんで、あいかわらず仕事が丁寧だ。ダイが剣を抜くシーン(アニメオリジナル)とアバンストラッシュXの構えのシーンは、PCやスマホの壁紙にできるぐらいに作画品質の高いシーンだった。
そう、アバンストラッシュX(クロス)である。特訓回63話でダイがノヴァに向けて最初に放った "X" 、よく見ると実は背後の木がX字に斬られていたけど、お気付きだっただろうか?
"X" にはアバンに教えられたままではないダイの創意工夫があり、ダイ独自の技であることから、自分はダイの持ち技の中ではこれが一番好き。ハドラーは因縁の技でもあるアバンストラッシュを「涼風」と言ったが、見くびられては困る。既存の技術に改良を加えることこそ人の営み、アバンストラッシュはダイの手で、今のハドラーをも脅かすものに大きく進化していた。
ヒュンケルは「ダイにしかできない」と言ったけど、まぁそう諦めずに。勇者の技術や精神が継承されていくものならば、アバン同様、ダイも自分の技術を後世に伝えていくといい。また、バランも言った様に、それがダイの子であればもっといい。
一方、激突の結果で覇者の剣が折れたけど、超魔爆炎覇が "X" に敗れたという象徴的な意味もあったはず。ここはもう少し強調してよかったのでは。
ダイの魂の力について話していたレオナ。
ダイはアバンやレオナのように「正義」を力強く言語化することはできないし、ポップのように作戦立てて仲間に伝えることもできない。それでもなお、何か目に見えない求心力を持ってパーティの中心にいるのがダイであり、これこそがダイの魂の力であると。連載当初から元々持っていた美点が、ここに来て実はダイ本来の魂の力であったと位置づけられたのはとても良い。
ポップのことが好きで、ポップの魂の力を場の誰よりも理解していたメルル(67話)のことを思い出した。両シーンの構図がよく似ていて、レオナはダイの「理解者」なのだと改めて。
一方、加勢すると言ったポップの立場も別に間違ってはいないし、否定されているわけでもないと思う。「許さないぞ」というダイの意志の強さにポップは折れたけど、ダイ自身に恨まれてもなお、ダイの身の安全を優先するという別の立場はあっていい。
では、ポップはダイを助けるべきだったか?結果から言えば、ポップの立場とは別の理由でそれをしなくてよかった。