「劇場版ウマ娘プリティーダービー 新時代の扉」視聴終了
評価S(神作品)
今までにない異質なウマ娘だった。コミカルな雰囲気は全く無く、ただ「勝ちたい。超えたい。」という本能を狂気的に描いた異質なウマ娘。ただ、それが最高に面白かった。まさにウマ娘の新しい扉を開く、ウマ娘というコンテンツの新たな可能性を見出した映画だった。
序盤から画のタッチが暗く、重厚な雰囲気でのスタートだった今作品。それが、今回のメインキャラの一人でもあるアグネスタキオンの狂気さを存分に引き出していたと感じた。たった4回だけのレースで皆の記憶に刻み込まれた刹那の狂気。それがジャングルポケットにとってずっと大きな壁になってしまう。ウマ娘で山場を描く展開として、怪我からの復活、呪いの払拭、ライバルの挫折、ピークアウトのもがきなど様々やってきたが、今回は「幻に囚われ続ける苦悩」という新たな展開で魅せてくれた。アグネスタキオンの亡霊に縛られてしまうジャングルポケット。どう乗り越えるのかと見ていたら、なるほど、初心を思い返すのかと。ウマ娘の姿に憧れ、そんなやつらを抜いた景色を見たいと思った初めての気持ちが背中を押してくれるのか。その心情変化に心を打たれましたね。
初心を思い出し、自分を超えたい、全員を超えたいという本能を燃やし続けるジャングルポケット。そして、タキオンに「先に行くぜ」と言わんばかりの走りを見せつける。そんな姿に「待ってくれ」と走り始めてしまうタキオン。ウマ娘の可能性を見出すことを一番として、自分を超えてくれる存在が現れることを待っていたが、やはり本心では「自分が一番でありたい」と思っており、その本能を思い起こして復活を決意する。今作でベストシーンで、涙腺が熱くなってしまった。「最強でありたい」という本能を狂気的なまでにまっすぐ描いてくれた作品。素晴らしかった。
線の強弱や場面の強弱も今までとは違い、演出も全く異なる。ただそれが、今作の一番魅せたいことと合っていて、話に引き込まれました。ウマ娘という作品はこういう方向から攻めることもできるのかと、コンテンツの可能性を感じました。やはりすごいなウマ娘は。