「ATRI -My Dear Moments-」視聴終了
一話での世界観に惹かれたし、見せ場のシーン(8〜10話)は見応えがあったが、いかんせん話の展開がいきなりなものが多く、シーンの繋ぎ目に情緒を感じ取れなかった。ギャルゲーアニメらしいといえばらしいが。
発電から皆が仲良くなっていく展開は丁寧に描かれていて面白かった。徐々に関係が構築されていく様子はすごく伝わってきた。
ヒューマノイドの感情を軸にした構成も、ベタではあるが面白かった。ノートを見た時のナツキの表情は、今作のベストシーンだった。今でもここは強く印象に残っている。アトリの過去話も見入っちゃった。
ただ、シリアス展開が唐突に組み込まれ、話の情緒を感じる暇無く、ストーリーに振り回されたのは残念だった。アトリに対する周囲の反応が急に冷たくなったり、敵が急に人質を取ってバトル展開になったり(博士のために欠陥品を回収する良い人かと思ったら、急にヒューマノイド差別するやべー奴だった。まがりなりにもお前が作ったものだろ)、話を動かすのが雑だったなぁ…と思った。尺不足という言葉を簡単に使いたくはないが、今作はまさに尺不足じゃないか、原作はもっと丁寧に前後関係を描いていたのではないか?と感じた。前半の丁寧さを後半にも見たかった。
あとは、荒廃した世界観があまり活かされていなかったかなと感じた。通貨制度も成り立っているし、明日を生きるための必死さが無い平和な世界。この設定は、最後にアトリを犠牲にして街に光を灯すという、セカイ系の展開を取り込みたいためだけのものに感じた。そのわりには、ナツキとアトリの別れもあっさりに思えたし、最後バーチャル世界で出会う展開にもガン萎えした。そもそも、エデンにアトリを備えて復興するのも謎。なら、なぜ最初からそれをしない。終末世界を一人の少女が救うという展開を、無難に、されど無理やりに組み込んだ感はあった。
ただ、ギャルゲ原作アニメらしいキャラのやり取りや、一夏の切なさというのは良かった。このジャンル、正直当たり外れが大きいんだが、結構好きなんだよな。世の中のギャルゲを全部アニメ化してほしい。